1.婚姻の手続き: 結婚する国の方式に従う
通則法 24条
①日本で結婚するには ―― 届け出主義
(創設的届け出)
日本人 - 戸籍謄本
外国人 - 国籍証明書(パスポート、出生証明書等)
外国人登録証明書、申述書、宣誓供述書
在日公館発行の婚姻要件具備証明書
(国による戸籍謄本等、和約添付)
②戸籍制度 ―― 日本、韓国、台湾のみ
*外国人(戸籍がない)と結婚して外国人の氏に変更するとき
→婚姻の日から6カ月以内に届け出(戸籍法 107条2項)、
期間経過後は家裁へ申し立て
→夫婦別姓を望む人は婚姻届だけ出せばよい
*外国人配偶者の居住地証明が必要な時外国人登録原票記載事項証明書が
住民票と供に必要
<住民管理>
外国人― 外国人登録法、
日本人― 住民基本台帳法(日本国籍無き者適用除外)
2.国籍 : 父母両系主義(父または母が日本人であれば子は日本人)
①出生届 ―― 両親の国籍が違う場合、出生届はそれぞれの国にする必要あり
日本 →出生後14日(国外は3か月)以内に届け出する必要あり
「生地主義」: 両親の国籍に関係なく生まれた場所がその人の国(移民社会)
「血統主義」: 生まれた場所に関係なく血統により両親の国籍を取得
(父系主義、父母両系主義)
②国籍留保届( 国籍法 12条)
日本政府は重国籍の子が外国で生まれた場合のみ、日本国籍を留保するか
しないかを生後3カ月以内に意思表示すべきことを定めている →在外公館
→留保せずに国籍を失った子がその後日本に住むこととなった場合、20歳
までに法務局に届け出れば日本国籍を再取得できる
(国籍法 17条1項)
*父が日本人、母が外国人の場合→胎児認知すると子は日本人、
出生後認知すると子は日本国籍無
なぜなら、 「出生の時に父または母が日本国民である時子は日本人」
国籍法 2条1号
*夫婦国籍独立主義 - 外国人と結婚しても日本国籍を喪失しない、また
外国人に自動的に日本国籍を付与することもない
但し、自己の志望によって外国の国籍を取得した時は日本国籍を喪失する
*元の国籍離脱が困難な場合(インドシナ難民など)、重国籍でも帰化を認める
国籍法 5条2項
③国籍選択主義 国籍法 14条
<選択期間> 期間経過後、法務大臣より1カ月以内にするよう書面で
催告される
国籍選択の義務 - 重国籍者に20歳以前になった → 22歳までに
- 重国籍者に20歳後になった
→ 重国籍者になって2年以内
*日本国籍選択の場合 →日本国籍選択宣言-市町村役場備え付け用紙に
署名 国籍法 104条2項
または →外国国籍の離脱 国籍法 16条1項
*韓国では二重国籍の場合、22歳までに外国の国籍を離脱しなければ自動的
に韓国籍はなくなる
3.外国人の日本生活
①公務員採用における国籍条項
(「公権力の行使に該当する業務」「公の意思の形成への参画に該当する職務」)
による制限
②専門職の規制解除
医師、歯科医師― 1987年「医師法」「歯科医師法」の改正により外国での
資格を持つ医師、歯科医師は日本国内で業務を行うことができる
ようになった (3年以上の診療経験)
公認会計士、弁理士、弁護士― 外国法事務弁護士(5年以上の実務経験)
③車を運転するには
外国の運転免許がそのまま使える - 1年間 ―― 相互免除協定
ドイツ、フランス、スイス
国際免許証 - 有効期間1年間 ―― 更新は不可
ジュネーブ条約加盟国発効の国際免許証
外国の運転免許証から日本の免許証への切替え
筆記試験+実技試験
④外国人の納税義務
居住者(日本に住所または1年以上居所を有する個人)
永住者― 国内外のすべての収入に課税
非永住者― (国内の収入+国外からの送金分)に課税
非居住者― 国内の所得に課税
4.これからの社会保障
①公的年金のカラ期間:1982年の改正により年齢制限で加入できなかった
外国人に合算対象期間(カラ期間)が設けられた
*カラ期間は1926(大正15)年4月2日以降に生まれた人が国民年金に
入ることができなかった1961年4月から1981年12月までが対象
*海外居住日本人も国民年金の任意加入が可能になった(1986年改正)
②日本と外国の年金制度の通算: ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ
③銀行ローン
永住資格がなく、妻(日本人)の父親名義で銀行ローンをして不動産を
取得した場合
→父親と外国人夫との公正証書を取り交わしておけば、名義変更しても
贈与税がかからない
5.子供の教育
①小中学校への入学、編入→ 子供が外国籍であれば教育委員会の入学
許可が必要
*日本にある外国人学校の中学課程を卒業し日本の高校に進む場合、
原則として各種学校扱いのため高校受験資格を与えられない
インターナショナルスクールの場合、卒業後日本の中学3年に編入し、
翌年中学卒業の資格を得て、高校入試の資格を取ることが可能
6.弁護士に相談する前に
①離婚:日本で外国人との離婚手続きをする場合、日本法が準拠法として
適用される (通則法 25条)
協議離婚→ 調停前置主義(調停離婚→審判離婚→裁判離婚)
時効: 財産分与は離婚後2年、慰謝料は原因行為から3年
親権: 子供と親の一方の国籍が同じであればそこの法律、国籍が
違えば子供が住んでいる国の法律が適用される
氏 : 外国人配偶者の姓を名乗っていたものは、離婚後は
3か月以内に家裁の許可を得て婚姻前の氏に戻ることができる
(婚氏続称が日本人の原則 戸籍法 107条3項)
②養子:養子になった子の国籍は、養子縁組によっては変わらない
(簡易帰化要件) 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、
かつ縁組の時本国法により未成年であった者
③遺産相続と遺言 - 相続は被相続人の本国法による (通則法 36条)
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